薄層クロマトグラフィー HPTLC

これまでの薄層クロマトグラフィー(TLC)

薄層クロマトグラフィーはガラス板などの支持体にシリカゲルやアルミナを薄く敷いたプレートを用いて、混合物を移動相で分離する方法です。この技術は古くから行われており、特に天然物や未知の物質の分離、さらには複数の物質を同時に分析し、視覚的に分離の状態を確認することが可能です。ただし、外的要因を受けやすいため、再現性が取りにくく、定量分析には適していないとされています。

HPTLCとは

HPTLC(高性能薄層クロマトグラフィー)は、メソッドの標準化と検証方法を確立した分析技術です。従来のTLCが手動で行われるのに対して、HPTLCでは粒子径の細かいプレートや各工程に適した機器を使用することで、再現性や分離が良くなります。CAMAG社のHPTLCの装置は各工程で、人による誤差なく、環境を揃えて分析を行える設計となっており、共通のソフトウェアで一貫した管理が可能です。オプションにより21 CFR Part 11にも対応することができます。

HPTLCの流れ

  • 1

    塗布

    オートマチックTLCサンプラー4 ( ATS4)はサンプル塗布の工程を完全に自動化した装置です。まず、装置は自動でバイアルからシリンジに充填し、窒素ガスを吹き付けながらサンプルを薄層板に塗布します。塗布が完了した後は、自動洗浄が行われ、次のバイアルに移ります。この装置では、分離を良くするためにバンド状での塗布が可能です。誰でも同じように一貫した塗布が実現できます。

  • 2

    展開

    自動展開槽 ADC2はプレコンディショニングから指定した距離までの展開、乾燥までを自動で行うことのできる展開槽になります。また、湿度コントロールユニットをつけることもでき、季節による湿度の変動による誤差を軽減することができます。

  • 3

    誘導体化

    デリバタイザーは、透明な容器の上部に設置されているスプレーヘッドを使用して、発色試薬を微細で均一に噴霧します。クローズ空間で操作するため、ドラフトを汚すことなく噴霧が可能です。さらに2~4 mLの少量で噴霧することができて、再現性が高く誰でも同じように噴霧することができます。

  • 4

    評価

    TLCスキャナー4は、薄層クロマトグラムを分析するためのデンシトメーターで、最大20×20 cmのサイズに対応しています。この装置は、190 – 900nmの波長範囲をカバーしており、吸光または蛍光モードでの反射光を検出します。また、装置で塗布したTLCプレートであれば定量分析も可能です。

  • 5

    記録

    TLCビジュアライザーはTLC/HPTLCプレートの画像を見たままの様子を効率よく記録する装置です。自動露出時間の制御により、高い再現性のイメージを得ることが出来ます。 デジタルカメラでは色合いが変わってしまう場合でも、見たままの色合いで簡単に撮影が可能です。白色光、254 nm、366 nmの光を照射しながら撮影することができ、 迅速かつ直感的に操作できます。 "

  • 6

    質量分析

    TLC-MSインターフェースは、TLCまたはHPTLCプレー上で分離された各成分をプレートから直接抽出し、それをオンラインで質量分析計へ送ることができます。お手持ちのLC-MSにLC用フィッティングを接続するだけでTLC-MSとして簡単に使用することが出来ます。イオン化法や質量分析の方式に関しても特に制限はありません。

①塗布 バンド状に塗布

 

 

②展開 プレート活性(相対湿度)による分離の影響

 

 

③誘導体化

 

 

④評価 クロマトグラムを3Dで表示、定量分析

 

 

⑤記録 他のプレート同士の比較

 

 

⑥質量分析装置との接続

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