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20206/29
お知らせ 環境計測 太陽放射・光計測

携帯型分光放射計 MS-730を発売しました

MS-730

英弘精機と分光放射計の歴史

英弘精機は長年にわたり、再生可能エネルギー、環境科学、および物性分析分野において製品及びサービスを提供してきました。英弘精機の主力製品の一つである分光放射計は、日射計測の高度化を担うべく全天候型分光放射計として開発され、2000年から製造販売しています。その後、携帯型も開発し、この度ロングセラーであった携帯型分光放射計MS-720の後継機種であるMS-730を発売しました。

携帯型分光放射計MS-730製品概要

携帯型分光放射計MS-730(以下、MS-730)は太陽光や各種人工光源といった光の放射照度を波長毎に測定することができる携帯型の分光放射計です。

(写真1)

特徴

1.幅広な波長範囲・高分解能・高波長精度

測定できる波長範囲は、可視域から近赤外域までの範囲となる350nmから1050nmまでで、分光測定を2500 pixelのCCDセンサを用いて測定します。また、波長分解能は(FWHM)3.0nm未満、波長精度は±0.5nm以下で測定可能です。幅広い波長範囲を高分解能、高波長精度で測定することができます。

2.分光放射照度測定

MS-730は、弊社がNIST (National Institute of Standards and Technology米国標準技術研究所)準拠に校正して出荷するため、分光放射測定結果は単位付きの物理量(絶対値)として取得することができます。

3.電源

装置への電源供給方法は、付属の充電式電池や市販のアルカリ乾電池のほか、USB給電(バスパワー)にも対応しているため、 屋内・屋外を問わず様々な測定シーンに対応できます。

4.ハンディ

小型 (85×190×42.5mm)、軽量 (450g)でフィールドでの使用に適しています。(写真1参照)。

5.レーザーポインタ

MS-730は計測対象となる方向に正しく入射光を向けるための補助として、レーザーポインタ機能があります。(写真2参照)

(写真2)

6. スマートフォン操作

MS-730とスマートフォンは無線LANで接続されており、モバイルアプリケーション“niji”(以下、本モバイルアプリケーションを「niji」と記載する)から遠隔操作できます。これにより、三脚等を利用して高い位置や離れた場所からの測定が可能です。(写真3参照)

(写真3)

nijiでは、MS-730本体の測定制御、測定結果のグラフ表示、データ収集・演算・保存が可能である。測定結果は、CSVファイルで出力されます。スマートフォンのカメラ機能とGPS機能を利用して、測定環境の写真と緯度・経度情報を測定したデータに紐づけることが可能でデータ整理にも役立ちます。

niji機能一覧 (表1)

 

分光スペクトル測定

1. 測定単位

MS-730の測定結果は、分光放射照度(W/m2/nm)および分光光量子束密度(μmol/m2/sec/nm)として表示することができます。

太陽光の分光放射照度例を図1に、分光光量子束密度例を図2に示す。nijiでは、測定結果画面で2つのグラフの表示切替ができます。太陽光スペクトルとして、500nm付近にピークをもち、大気分子(水蒸気、二酸化炭素、酸素等)の吸収線を細かく正確に捉えています。

図1.太陽光の分光放射照度例

図2.太陽光の分光光量子束密度例

 

2. 任意波長範囲の積算

全波長域(350nm~1050nm)での日射強度および光量子束密度の積算値の計算に加え、任意の波長範囲における積算値を出力できます。ある波長帯の光が対象物に与える影響を解析する場合に有効です。

その他、照度、光合成有効放射(Photosynthetically Active Radiation:PAR)、光合成有効光量子束密度(Photosynthetic Photon Flux Density:PPFD)も出力できます。(表2)

 

測定項目 (表2)

 

アプリケーション

携帯型分光放射計MS-730は前述の太陽光や植物葉の分光放射照度の測定に加えて、ランプなどの人工光源の評価や、光制御に係る原材料の評価等に適用することができます。

 

1.農業被覆材評価

農作物の育成に必要な光の波長域は種類によって異なります。そのため、温室ガラス、ビニールハウスのフィルム、遮光カーテンを透過する光の分光特性を把握し、農作物の効果的な育成を調査するためにMS-730を活用することができます。

2.LED栽培の光源評価

 季節を問わない栽培や農薬を使用しない安全な野菜などを栽培するため、LED栽培の研究が進んでいます。栽培用LEDの性能評価や栽培環境に応じた収量の変化、高機能野菜の栽培に必要な光環境条件の選定にMS-730を活用することができます。

3.建築分野

建築分野においては、ガラスや塗料といった建築資材の反射・透過の評価や昼光・採光といった照明機材の光環境の評価にMS-730を活用することができます。

4.リモートセンシング

衛星データの大気補正用のデータの取得や、衛星・航空機によるリモートセンシングデータ用のグランドトゥルースにMS-730を活用することができます。地上観測のほか、船上やドローンに搭載しての計測にも使用することができます。

用途としては、植生観測や農業分野のモニタリング、海面や湖沼水のモニタリング、土地被覆や地質分野における分類などが挙げられます。

 

 

MS-730に加えて、英弘精機製の全天候型分光放射計や放射センサ(日射、PAR、LUX)や、他の計測機との組み合わせによるアプリケーション(=ソリューション)の提供をしております。

購入検討前にご使用を希望される方はMS-730のデモ機がございますので、お問い合わせください。

 

本製品に関する詳細は、下記までお問い合わせください。
製品ページ: https://eko.co.jp/products/solar_radiation_measurement/spectroradiometer/ms-730.html
ビデオExpo: https://www.youtube.com/watch?v=4X0a2Jih6aM
オンラインミーティング予約:https://calendly.com/uchibori-takashi/environment_products?month=2020-06

 

 

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