英弘精機では昨年5月に、日本で初のハイパースペクトルイメージングのモジュラーシステムとなるLuxflux社(ドイツ)製イメージングスペクトルスキャナ Opsis HSI-1700 (以下Opsis) の販売を開始しました。
Opsisは、ハイパースペクトルカメラを搭載しており、スペクトル情報を持った画像を撮影することができます。撮影したスペクトル情報をアルゴリズム解析することで、定性分析、エリア分析、定量分析を実施することができます。また、多数のサンプルを短時間で分析することが可能になります。画像と分光スペクトルを同時に取得できるため、見た目では識別困難なものの識別(異物検査、錠剤、顆粒、粉末材料の識別)や分散状態の確認や濃度管理(プロセスでの濃度ムラ監視、粉体の混合均一性、配合比管理)など様々な用途に利用することができます。
OpsisHSI-1700の概要
Opsisに搭載されたハイパースペクトルカメラと下部の可動ステージを移動させることで、950~1700nmのスペクトル情報を持った画像を撮影することができます。
一般的には面でのスペクトル分析(スペクトルマッピング)では、顕微ラマンや顕微IRが用いられます。これらの方式では、光をピンポイントに絞り込みステージをX-Yにスキャンさせる必要があり、測定に時間が掛かります。測定面積にも依りますが、大きい面積を測定しようと思うと分オーダーではなく何時間もかかります。一方Opsisでは、ボタンを1回押すだけでステージが動き、わずか20~30秒で11×25cmの面積の画像とスペクトルを同時に取得することができます。
Opsis HSI-1700の特長
- 分光スペクトルと画像解析が融合した新しい分析システム
- 機械学習ベースのAIソフトによる解析アルゴリズムを組み合わせることで、使用目的に合わせてカスタマイズされた定性分析、エリア分析、定量分析が可能
- 前処理が不要で大量のサンプルを短時間で処理可能
- ライティングやステージコントロールを最適化し分析精度を向上
OpsisHSI-1700のアプリケーション
Opsisでは、見た目では判別ができないものや、目視では確認が難しい異物などの識別が可能です。
例えば、見た目が同じ形状の錠剤でも薬効成分によりスペクトル情報が異なります。このスペクトル情報をリファレンスとして登録することにより、測定で得られたスペクトルからどの錠剤であるか識別することができます。
目視では確認が難しいサンプルと色の似た異物なども、吸収スペクトルの違いから確実に検出することができます。
また、Opsisは攪拌や反応の終点を判断するなど、製造技術に関する情報を得る際に役立てることができます。
攪拌または反応を初めて5分後、10分後、15分後など一定間隔でサンプルを取り出し、それらをOpsisで測定します。例えば、25分後以降のスペクトルが同じであれば、終点は25分と判定することができます。また、製造時に始めと終わりで同じものが同じような濃度でできているか(例えば製薬でいうと錠剤を製造したときに製造開始直後、中間、終盤で薬効成分の濃度変化が無いか)などを確認することができます。
弊社のテクニカルセンターでは、Opsis HSI-1700の評価用デモ機を設置しています。近日、WebinarによるOpsisの詳細説明やデモ測定を実施する予定です。詳細につきましては、EKOホームページ「イベント」ページをご確認下さい。
Opsis製品ページ:
https://eko.co.jp/products/physical-property/life_science/drug_disc/hsi-1700.html
Calendly予約ページ:
https://calendly.com/inoue-aya/ma-div_sales?month=2020-05