近年、「無人航空機(UAV)」の産業用途への関心が高まっており、そのアプリケーションにはセキュリティ、モニタリング(建設現場や自然環境)、農業(農薬の散布)、物流、検査、などが挙げられます。太陽放射の分野では、ますます多くの人々がUAVを使った研究に関心を持ち始めています。
英弘精機では、そのようなアプリケーションに活用できるセンサーの開発・製造を実現しました。台湾の国立中央大学 大気科学系 副教授Sheng-Hsiang Wang博士が率いるグループでは、アルベドの垂直プロファイルを測定するために、ドローンにMS-80SとML-01を搭載させました。
絶え間なく変化する大気条件や、それによる環境への影響についてより多くの知識を得るためには、斬新で革新的な技術が必要です。日射強度の垂直プロファイルにおける現在の測定方法は限度があり、測定不確かさに関連する問題があります。
UAVはその操作性、サイズ及び汎用性により、観察研究において一般的に使用されている新しい手段です。この研究は、大気の垂直構造に関してより良い見識を得るため、また天気や天候モデルの予測をさらに改善するために、太陽放射、気温、湿度、及び気圧を測定するセンサーを含むクワドコプタに基づく無人航空システム(UAS)を構築することが目的です。
台湾のSheng-Hsiang Wang博士(国立中央大学 大気科学系副教授)とグループメンバーは、MS-80SとML-01をUAVに搭載し、上下放射を測定しました。
MS-80Sは従来のモデル(MS-80)に比べ、性能を維持しながら小型軽量化されています。軽量で小型なMS-80Sは様々な航空機用途に使用することができます。MS-80SはISO9060に準拠したSecondary Standard日射計で、センサーの高速応答性(<0.5sec @95%、 <1sec @99%)と最小のゼロオフセット値により、垂直方向にセンサーを飛行させた際も日射強度をより正確に測定することができます。ML-01シリコン日射計は、400nm~1,100nmの可視・近赤外のスペクトル範囲に対応し、フォトダイオードセンサーにより非常に高速な応答速度(1ms未満)を備えています。さらにML-02は、センサーのサイズや重量が優先されるアプリケーションに利用できるML-01のロープロファイルバージョンのセンサーです。
本実験の目的は以下のとおりです。
(1) UASを利用して、上下方向の短波放射の垂直方向プロファイルを同定させるため、草地や森林表面上の短波放射フラックスの垂直プロファイルを、その他の関連パラメタと併せて測定。
(2) 非水平状態のUAVプラットフォームにおける放射測定の補正方法の開発。
(3) 平行面の放射伝達仮説における、観測された放射束、屈折率及び透過率の評価。
(4) 衛星とUAVによるアルベド観測の比較。