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202010/30
お知らせ 物性分析

熱伝導率測定 – あらゆる分野において重要な熱伝導–

この夏は猛暑で連日エアコンを使用されていた方がほとんどではないでしょうか?断熱材を使用されている家屋はエアコンの効きもよく、夏は涼しく冬は暖かいと言われています。身近な断熱という言葉は市民権を得ていると思いますが、断熱性能はどのように測定されているかご存知でしょうか?

熱伝導率の測定には多くの方法がありますが、JIS A 9521建築用断熱材によれば”熱伝導率測定は,JIS A 1412-1又はJIS A 1412-2のいずれかによる”とあり、このJIS A 1412がいわゆる定常法といわれている方法です。定常方には、1:保護熱板法、2:熱流計法、3:円筒法の3方法があり、英弘精機の製品には、熱流計法が採用されています。

定常法では積層材料の評価が可能です。

例えば積層材料を測定する場合、加熱板と冷却熱板にサンプルを挟み、サンプル内の熱の流れが定常状態になるようにします。サンプルの表裏面の温度差、中央を流れる熱流、サンプル厚さから熱伝導率を求めますが、その際に熱流を測定するために熱流計と呼ばれるセンサーを使用していることから、定常法-熱流計法とされています。

英弘精機では長年にわたり、この定常法-熱流計法を採用した熱伝導率測定装置を各種取り扱っており、多くのお客様の断熱材の研究開発・品質管理にご利用頂いています。下記にご紹介する、高精度の熱伝導率測定装置FOXシリーズは、省エネ法に関連する各種建築用断熱材の研究開発・品質管理はもちろん、高性能な断熱材(エアロゲル・真空断熱材など)の開発や潜熱蓄熱建材(PCM)など新しい研究にも使用する事ができます。

 

熱伝導率測定装置FOXシリーズ

熱伝導率測定装置FOXシリーズは、ウレタンフォーム、スチレンフォーム、ガラスウール、ロックウール、真空断熱材など、あらゆる断熱材で再現精度の高い測定が可能でありながらも、誰でも簡単に測定することができます。ASTMC518、ISO8301、JIS A 1412-Part2に準拠しており、キャリブレーションには、米国標準規格技術研究所(NIST)の標準板による校正値を採用しています。またユーザー様の所持する標準板での装置校正も可能です。

英弘精機では、お客様の目的に合った測定ができるよう、4種類の試料面積[200/300/610/760]mm角に対応する6機種を取り扱っています。

FOX200、FOX314、FOX304 (サンプルサイズ200角300角用)

FOX200、FOX314、FOX304は、上下プレートに高性能薄型熱流センサーを用いることにより試料の上面と下面を通る熱流を測定し、試料側面からの熱損失を評価した上で熱伝導率を算出します。低熱容量のプレート設計で高速かつ精密な温度制御が可能です。本機では1%以下(同一試料において0.5%以下)の再現精度が得られます。

FOX304はFOX314の4つの側面にリニアグラジエントガードを備えており、端部熱損失の影響を小さくすることで、厚いサンプルの測定の正確性を向上させます。

 

● FOX600、FOX630、FOX801 (サンプルサイズ610mm角760mm角用)

FOX600、FOX630、FOX801は、FOX200とFOX314同様、熱伝導率を精度よく測定するための機能を有している他、下記の特長があります。

  • デュアルゾーン温度制御: 熱板中央部と周囲を別々に温調し、理想的な1次元熱流での正確な測定を行えます。
  • 前後の扉の開閉: 真空断熱材や窓部材などのサンプルに対し両方のドアを開けて測定可能です。
  • 熱流計デザイン: FOX600とFOX801では254mm角の熱流計、300mm角の熱流計の選択ができます。
  • FOX630は5枚の熱流計を持つタイプです。

また、オプションとして、熱伝導率測定範囲を~2.5W/mKまで拡張することができる外部熱電対キット(FOX200、314、600、801)や、ASTM C 1784(ステップ法)による潜熱蓄熱建材の評価(容積比熱測定・相変化)が行える熱容量測定ソフトウエアがあります。

 

● FOX50

姉妹機種であるFOX50は、接触熱抵抗を考慮した補正機能を備えた、ASTMC518、ISO8301に基づく装置です。プラスチック・ガラス・セラミックス・複合材料・コンクリートなど硬質で中程度の熱伝導率材料の測定に適しています。

真空断熱材は非常に低い熱伝導率を持つ高性能な断熱材です。しかしながらリークにより真空度が下がることで断熱性能が落ちてしまう可能性があります。定常法は断熱材に非常に適した方法ですが、1サンプルにつき1~3時間ほどの時間を要する測定法であるため、製造工程においては全てのサンプルでリークのチェックをすることができません。そこで英弘精機では、真空度の異なる真空断熱材の熱伝導率をFOXで計測し、これらを熱伝導テスターHC-10 “クイックラムダ“で測定する標準サンプルとすることで、真空断熱材のリークチェックに使用することをお勧めしています。

 

熱伝導テスターHC-10 “クイックラムダ”

HC-10 “クイックラムダ“は、非定常法を採用した熱伝導率測定装置です。わずか1分で熱伝導率測定することができます。表示機能がついたポータブルタイプで、各種材料表面にセンサーを乗せるだけで簡単に熱伝導率を測定することができ、簡単なチェックを行う装置として最適です。

センサーヘッド表面にヒーターと温度センサーが組み込まれており、ヒーターに一定の熱量を発生させてヒーター面の温度上昇を計測するします。接しているサンプル表面及び内部への熱の伝わりの違いから、材料の違いを 評価します。

クイックラムダで計測する熱の伝わりは熱伝導率・比熱・密度・表面の接触の影響を受けます。これらの違いを総合的に熱で検知し、研究開発や品質管理検査に使用することができます。

  • 材料の品質評価、ガス抜け劣化
  • 真空断熱材の真空リークチェック
  • 同じ材料の表面水分量の違い
  • 温冷感の違い
  • 簡易の熱伝導率 
  • 分散溶液を硬化させた時の分散性の評価

 

熱伝導率測定装置FOXシリーズと熱伝導テスターHC-10 “クリックラムダ”を併せて使用する事により、断熱材だけでなく、プラスチック・ガラス・セラミックス・複合材料・コンクリートその他材料や工業製品など幅広く熱に対する特徴を掴むことが出来ます。製品に関する詳細、各材質やアプリケーションにおいての測定方法や評価方法などに関するご質問は、下記までお問合せください。

また、12月9日(水)には「熱伝導測定装置ウェビナー」を開催したします。熱伝導率測定に関する基礎知識や正しい測定方法についてのご説明、および熱伝導率測定装置をご紹介させていただくセミナーです。ぜひご参加ください。

 

リモートミーティング:
https://calendly.com/inoue-aya/ma-div_sales?month=2020-10

ウェビナーお申込み:https://eko-instruments.zoom.us/webinar/register/WN_BGW8XDsGTBWq4VJx9qigAQ

熱伝導率測定装置FOXシリーズ:https://eko.co.jp/products/physical-property/sol_physical_property/thermophysical/p5044.html

 

HC-10熱伝導テスター:https://eko.co.jp/products/physical-property/sol_physical_property/thermophysical/p5047.html

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