電極材料の粘性評価

リチウムイオン電池などの2次電池では、電極を製造する際には材料をスラリー状に調製し、スラリーを基材に塗布、乾燥させ、電極を作成します。 このスラリーには電極材料、補助剤、バインダー、希釈液等が含まれますが、スラリーの塗布性には電極材料の種類・粒度分布・バインダーなど添加物の種類、さらに均一に混錬できているかなどの要因が大きくかかわってきます。適切に塗布できていれば期待された電池性能を発揮できますが、そうでない場合は期待性能を大きく下回ってしまうことになります。このスラリーの評価には、主に粘度測定が利用されています。

粘度測定とは?

粘度を計測する装置を粘度計といいますが、粘度計には細管式、落球式など様々な測定様式の装置が存在します。そのうち、B型粘度計に代表される回転式粘度計は、モーターの回転数を変えることができるため、電池材料の製造段階や使用時に実際に試料に与えられる“シェア”を装置上で再現することができるため、様々な状況・工程における粘度を評価することができます。“粘度”計測する速度域が変わると値が変わるもの(非ニュートン流動)が多く、非ニュートン流体の粘度評価には回転粘度計が最適です。RSTレオメータの場合、広い回転数範囲とトルク範囲を持っていますので様々な粘性のものの様々な速度域で粘度測定を行うことができます。 研究・開発段階においては流動特性の把握や構造性の評価のために粘度測定が実施されます。製造段階においては、物性管理項目の一つとして粘度測定が実施されています。 粘度を測定する方法として、定常流フローカーブ、ヒステリシスループ測定が挙げられます。また、構造性の把握のために降伏応力測定が行われています。

粘度計を使用した評価方法

  • 1

    定常流フローカーブ

    粘度計測は、試料が一定の流れの状態、定常流であることが前提になります。定常流の粘度を、複数のせん断速度で計測し、速度×粘度(せん断応力)のグラフで流動特性を評価します。様々な工程の粘度を1回の計測で見積もることができます。

  • 2

    降伏応力測定

    サンプルに印加する力を連続的に増加させたときのひずみ量の変化から降伏応力を求めることができます。 与える力が小さい時、固体的な性質の強いサンプルはその内部構造により小さな変形しか起こしません。しかし限界応力を超えると内部構造の破壊が起こり流動を始めます。この限界応力を降伏応力とよびます。

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