塗料の沈降性評価

塗料は水や有機溶媒などの分散媒に、顔料や樹脂、添加剤が分散されています。分散質は分散媒との比重差などにより沈降、浮揚するため、製造後の保管時に機能性成分の偏りが起こり、使用直前に撹拌を行わないと設計時の機能を発揮できないなどの問題が生じてしまいます。 塗料メーカーでは、この問題を回避し、製造後も安定的に使用できるための工夫を行っています。

静置安定性の評価方法

安定性の評価には、一般的には目視による評価が行われています。しかしながら、目視では人により変化が見える・見えないの判断が変わってきたり、そもそも変化が見えるまで時間がかかったりするため、評価に時間がかかってしまいます。 ST-1は近赤外光を用いて液体試料中の粒子濃度変化(=粒子の移動)や粒径の経時的な変化を捉える装置です。透明~半透明な試料は透過光強度で評価し、半透明~不透明な試料は後方散乱光強度の変化で評価します。人の目では判断できない微小な変化を捉えるため、目視よりもはるかに早く安定性を評価することができます。

ST-1を使用した安定性評価

  • 1

    ST-1では、測定で得られたグラフの形状から、①粒子の沈降、②粒子の浮揚(クリーミング)、③粒径成長を読み取ることができるため、定性的な評価を行うことができます。

  • 2

    また、得られたグラフを解析することで、変化率を求めることができます。解析には、ピーク面積、ピーク幅、光強度の平均値などが選択できます。沈降やクリーミングの評価にはピーク面積を、層分離する場合はピーク幅を、凝集などの粒径変化には平均値解析を行います。この変化率は沈降性などの指標として用いることができます。

  • 3

    解析により得られた変化率は、沈降性などの指標として用いることができます。この指標を用いて安定性の比較評価を行うことができます。

  

EKOニュースレターを購読しませんか

機器の最新情報や関連する最新のトレンドをお届けします。
購読する(無料)