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20205/20
物性分析

循環恒温槽 – あらゆる分野において極めて重要な温度管理

すべての計測は温度管理から

英弘精機では、ドイツ・HUBER(フーバー)社製の循環恒温槽(サーキュレーター)を販売しています。
循環恒温槽は、温度安定性と精度に優れた温調デバイスとして、製薬・化学向け合成反応装置や、半導体のサイクル試験機、各種計測機器の温度制御用に幅広く使われており、ベーシックな「道具」として、食品から航空・宇宙産業の分野まで、あらゆる研究機関や会社様のR&D部門や生産工場にて使用されています。
あらゆる分野において、温度管理は極めて重要です。例えば、薬の合成反応では、反応させる時の温度が異なると目的とは違う物質が出来てしまいますし、半導体も温度特性により挙動が変化しますので、ある温度での挙動を調べておくことは重要です。多くのスラリーは温度依存性の特徴をもっており、温度によって粘度が変化します。温度管理はあらゆる仕事において一番基本的で重要な事項だと言えます。

 

シールド式循環恒温槽のメリット

弊社で取り扱っているシールド式循環恒温槽・Unistat Tango は、1989年に世界で初めてHUBER社によって発売されました。シールド式循環恒温槽は従来のバス式循環恒温槽のような水槽を持っておらず、装置の内部には熱媒体が通る配管と循環ポンプ、冷凍機、ヒーターユニットがあるだけです。シールド式循環恒温槽は、一般的なバス式循環恒温槽に比べて、次のようなメリットがあります。

  1. 熱媒体が外気に触れていないので、低温で使用した場合でも結露しない。熱媒体に水が混入することが無いので、冷却能力の低下や、熱媒体の劣化を防ぐことができる。
  2. 熱媒体が外気に触れていないので、高温で使用した場合に蒸気が室内に出ることが無く、使用環境をクリーンに保つことができる。また、熱酸化劣化を防ぐことができるので、熱媒体の寿命が延びる。
  3. 水槽が無いため、誤って熱媒体に手を触れる心配が無く、安全に運用できる。
  4. 熱媒体の循環総量を少なくすることができるので、昇温・冷却スピードが格段に速い。

 

 

 

これらの特徴を有するUnistatシリーズは、各種モデルによって-120℃~+425℃の温度域で使用可能です。最も温度範囲が広いモデルでは、1台の装置で-90℃~+250℃の範囲をカバーします。

アプリケーション・ノート(製薬産業におけるガラス反応容器の温度制御)

ここでは、Unistat Tango wを使った一例として、製薬分野におけるガラス反応容器の温度制御について説明します。インフルエンザ薬や制癌薬など、昨今の新薬開発には目覚ましいものがありますが、合成薬の開発にあたっては、さまざまなタイミングと温度で多くの物質を複雑に合成反応させる必要があり、僅かに温度が狂っただけでも、まったく違う物質が出来上がっていまい、研究が無駄になってしまいます。また、目標温度までの到達時間を短くすることにより、研究開発の時間を短縮することができます。Unistat Tangoは、極めて精度良く高速に目標温度に到達し、それを維持しますので、研究開発の質の向上に寄与し、病気の無い未来を創る一助となります。

 

測定条件

循環恒温槽: HUBER Unistat Tango w (水冷式・温度制御範囲:-45℃~250℃)
ヒーター容量 3kW
冷却能力 0.7kW (20℃時)
循環ポンプ能力 (最大吐出圧)0.09MPa (最大流量) 55L/分
流量制御 内蔵圧力センサーによる圧力制御
温度制御 外部Pt100温度センサーによるプロセスフィードバック制御
熱媒体 M40.165/220.10 シリコーンオイル

反応容器:  旭製作所製 2重ジャケット式1Lガラス反応容器
容量 1L
内容物 信越シリコーン製 KF96-CS20オイル 0.7L
撹拌機 130rpm

 

 

 

上記グラフからわかるように、3kWヒーター、0.7kW冷凍機、最大45L/分の循環ポンプにより、0.7Lのシリコーンオイルサンプルを20℃から-35℃まで、僅か60分で冷却可能です。また、20℃から180℃までの昇温に、僅か22分しか要しません。高速で温度制御しているにも関わらず、設定温度(グラフ:青線)に対し、アンダーシュートやオーバーシュート無くサンプル温度(グラフ:赤線)を精密に制御しています。卓上型のコンパクトなボディーで、これほどの能力を発揮する循環恒温槽は、他にはありません。

 

TangoUnistat Tango wは、コンパクトな卓上モデルですので、ドラフトの中に設置し、ラボ・スケールでの合成反応実験に最適です。熱媒体のM80.100/250.03シリコーンオイルを使えば、1液で-45℃~+250℃の幅広い温度範囲をカバーしますので、実験内容が変わった場合でも設備が無駄になることは無く、あらゆる用途に使用できます。

また、空焚き防止機能、過昇温防止温度設定機能、水圧・流量自動制御機能、⊿Tリミッター、設定温度入力制限機能など、各種の安全機能を完備しており、最高のパフォーマンスで安全にご使用いただくことが可能です。

コントロールパネルはスマホ感覚で直感的に操作できるタッチスクリーン式で、外部Pt100温度センサーによるサンプル温度を計測してのフィードバック温度制御や、最大100ステップのプログラム自動運転機能が備わっています。RS232、LAN、USBポート、ドライコンタクト接点を備え、PLCとの融和性にも優れています。

Unistatはクリーンで安全な作業環境を維持しながら、高精度な高速温調を行ないます。高速温調は1日あたりの作業効率を高めることになりますので(タクトタイムの短縮)、生産量のアップ、または作業時間の短縮によるコスト低減につながり、装置に対する投資金額の早期回収が見込まれます。また、シリコーンオイルの量も少量で済み、寿命もバス式に比べて長いので、長期的にはお得な商品です。

ご希望される作業内容に従って、熱計算を実施し、温調シミュレーションを行ったうえで、お客様の用途に合わせて最適な機種を選定させて頂きます。詳細につきましては、下記までお問合せ下さい。

 

お問い合わせ先

英弘精機株式会社
物性・分析機器事業部
03-3469-6715
info@eko.co.jp

オンラインミーティングの予約

https://calendly.com/inoue-aya/ma-div_sales?month=2020-05

Unistat Tango w製品ページ

https://eko.co.jp/products/physical-property/maker/maker4/p4010.html

Unistatシリーズ一覧

https://eko.co.jp/products/physical-property/heating_c/unist

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