英弘精機は自社開発の日射計の提供によって工学院大学ソーラーチームの2019年10月13日~20日にオーストラリアにて開催されたワールドソーラーチャレンジへの参戦を支援しました。
ワールドソーラーチャレンジとは
工学院大学ソーラーチームが参戦したブリヂストンワールドソーラーチャレンジ(BWSC)は世界最高峰で最も過酷なレースと言われています。参加チームはオーストラリアダーウィンからアデレードまでの約3,000km(約1,900マイル)を縦断します。30年を超える歴史を持つ本大会は2年に1度開催され、今年は21カ国44チームが参戦しました。
レースはソーラーカーのスピードや実用性等といった観点から、チャレンジャー, クルーザー, アドベンチャーの3つの異なるクラスから構成されます。工学院大学ソーラーチームがEagleにて参戦したチャンレジャークラスには世界最速を目指すチームが集まっており、車体自体は1人乗り, スピード、耐久性とエネルギー効率を考慮して設計されています。
工学院大学ソーラーチームは強風による2度のクラッシュを乗り越え、5位に入賞しました。また世界で初めてソーラーカーに導入したハイドロニューマチック・サスペンションという技術が高く評価され、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の「CSIROテクニカルイノベーションアワード」を受賞しました。
ソーラーカー Eagleには4つの特長があります。1) 人工衛星に使用されるGaAs太陽電池の使用 2) 発電量を重視した構造 3) 自然模倣; 空気抵抗を向上させるための鷲の嘴を模した車体デザイン 4) オーストラリア公道に適した優れたデザイン
なぜソーラーカーレースで日射計が必要なのか
日射はソーラーカーが走るための唯一の動力源です。ソーラーカーレースで勝利するために、最適なエネルギーマネージメントが重要な要素となります。換言すれば、レース中に生み出されるエネルギーと消費されるエネルギーを正確に把握することが非常に重要です。日射計を用いて日射を測定すること、衛星データにて気象状況を確認することはどのくらいのエネルギー量が生み出されるのかを把握することにつながります。工学院大学ソーラーチームは2台の日射計を使用し、1台はレース車の200~300km先を走る偵察車両(Scout), もう1台はレース車のすぐ後方を走る戦略車両に搭載されました。
英弘精機日射計の使用目的
- ソーラーカー前方の日射測定
偵察車両(Scout)に搭載された日射計はソーラーカーの200~300km先の日射強度測定に使用されました。ソーラーカーは100km/hrで走行するため、2~3時間先の日射状況を測定していることになります。厚い雲や砂嵐によって太陽が遮られると日射が落ち、発電量も落ちるため、基本的にはソーラーカーは雲や砂嵐を避けるように走行する必要があります。レース車後方を走る戦略車両内では、衛星データ、偵察車両から提供される実測日射データならびに他チームの状況等をチェックしながら、レース戦略担当者がソーラーカーの加速・速度維持・減速などの走行戦略を決定します。
- ソーラーカーに搭載される太陽電池パネルの性能チェック
レース中、ソーラーカーに搭載された太陽電池パネルの発電量と実測の日射データを比較することでソーラーパネルの性能確認を行います。ソーラーカーに問題が発生した場合には短時間で走行可能かどうかを判断する必要がありますが、その際の判断に日射計によって測定される日射データが活用されました。
- バッテリーを効率よく充電するための最適な太陽電池パネルの角度調整
レースに備えて、朝・夕のソーラーカー停車時にバッテリーを充電します。その際には太陽電池パネルの発電量が最大になるようにパネルを傾けて太陽に正対させます。その最適な傾き角度を確認するため、日射計が利用されました。
- コントロールストップでのバッテリー充電時のソーラーカーの位置決め
コース内にコントロールストップと呼ばれる必ず30分間停車して車両点検を実施する9つの地点があり、バッテリーの充電も認められています。偵察車両は先にコントロールストップに到着後、日射計にて日射強度を測定し、効率よくバッテリーを充電するために太陽電池の傾斜角度・車体向き・停車位置を計算して、ソーラーカーの停車位置を確保します。
レース車 Eagle, 偵察車両ならびに戦略車両: 偵察・戦略車両の日射計が搭載
2019.10.15ワールドソーラーチャレンジでの日射データ
詳細情報は以下をご覧ください。
● ブリヂストンワールドソーラーチャレンジ公式ウェブサイト:
英文サイト: https://www.worldsolarchallenge.org/
日本語サイト: https://www.bridgestone.co.jp/bwsc/
● 工学院大学ソーラーチームウェブサイト:
ソーラーチーム特集ウェブサイト:https://www.kogakuin.ac.jp/solar/
ソーラーチーム:https://www.kogakuin.ac.jp/archive/solar_team.html
● 英弘精機ウェブサイト
ウェブサイト: https://eko.co.jp/
日射計一覧ページ:https://eko.co.jp/products/solar_radiation_measurement/pyranometer