ゲルの粘度•粘弾性評価

ジェル状の製品は、食品、化粧品、医薬品など多くの製品で使用されています。その特徴は、静止時には形状の保形性が高く、流動時(使用時)にはスムーズに流れるという物性的に相反する2面性を持っている点です。化粧クリームや塗り薬などは、保形性が高いほどたれずに手に取りやすく、塗るときには流れやすいほど塗り心地やのびが良いと感じます。このようにジェルのレオロジー特性をコントロールすることにより、感触や食感に特徴を持った製品を作り出すことができます

ジェルのレオロジー特性を測定する方法

形状の保形性は動的粘弾性を測定することで評価することができます。動的粘弾性は微小な力をサンプルに与え、サンプル内部で高分子や分散粒子が形成している内部構造の変形を応答として捉えることにより、粘弾性特性を測定します。また、サンプルが持つ、粘性的特性と弾性的特性をそれぞれ捉えることができ、サンプルの硬さや保形性、たれやすさを評価することができます。 一方で、流れやすさは、粘度を測定することで評価することができます。液体の粘度はせん断速度(主に流れる速さ)によって大きく変化します。よって、粘度の測定では、実際に使用する際にサンプルが受けるであろうせん断速度で測定した粘度値を比較する必要があります。

口腔湿潤剤の評価

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    口腔湿潤剤の性質

    口腔湿潤剤は、舌や硬口蓋に塗布することで、口腔内の乾燥を防ぐ目的で病院などで使用されます。塗布時には粘度が低く、塗りやすく、のびやすい性質が求められます。一方で、塗布後は、舌上などからたれずに止まることで機能を発揮します。 成分の異なる口腔湿潤剤4種類について粘度及び動的粘弾性を測定しました。

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    粘度測定

    図1は粘度の測定結果です。口腔湿潤剤はスポンジでゆっくりと塗布されることが多いことからせん断速度は100(1/s)程度と考えられます。よって塗りやすさや伸びについては、この領域の粘度値を比較し、粘度が低いほど使いやすいと評価されます。

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    動的粘弾性測定

    図2は、動的粘弾性の周波数依存測定の結果です。周波数の減少に対して、弾性がほとんど変化しないものと、弾性が大きく減少する2つのタイプに分けることができます。低周波数での測定結果は長時間でのサンプルの変化を表すことから、前者のタイプは長時間サンプルの内部構造が変化しないことを表しており、化学的または相互作用によって架橋構造を持つことで形状を保つことができると考えられます。後者のタイプは、架橋構造を持たない絡み合いのみの構造のため、時間とともに熱運動などで構造が変化したれが起こると考えられます。図3の写真のように前者のサンプルは塗布後1時間経過しても形状を保つことができました。

 

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