大気中には、大小様々な粒子が浮遊しており(1nm〜100μm)、これらの浮遊粒子はエアロゾルと呼ばれています。エアロゾルは、呼吸により人体に取り込まれる際に、比較的大きな粒子(10μm以上)は上部軌道に付着し、小さな粒子(1−10μm)は下部気道から肺にまで達します。さらに小さいナノ粒子は肺の奥深く肺胞にまで達すると言われています。このようにエアロゾルは、粒子サイズが小さいほど、人体の奥深くにまで達することから、ナノ粒子の健康への影響が懸念されています
エアロゾルの捕集方法
大気中に存在するエアロゾルを捕集し、化学分析や顕微鏡観察により物質を特定することで、エアロゾルの発生源を明らかにするための手がかりとなります。エアロゾルの捕集方法として、インパクター法が広く使われています。しかしインパクター法は原理上100nm以下の粒子を捕集することができません。Ancon社のAeroSelectは、大粒子をインパクターにて、ナノ粒子をフィルターにて捕集することができるシステムです。さらに、インパクタ7段、フィルター5段設置することができ、分球した粒子を補修することが可能です。
アプリケーション(火山灰の評価)
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火山の噴火により発生られる火山灰は広い粒度分布であり、ナノ粒子はエアロゾルとして長い期間大気中に滞留します。火山灰による人体への影響を検討する研究において、サイズレンジごとにどのような物質が含まれているかを調査するために、AeroSelectが使用されています。
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2
2010年にアイスランドで噴火した際に、Aeroselectで捕集した火山灰のSEM およびXRFスペクトルを図1に示します。XRFスペクトルから、S,Fe,Ca,K,Mg,O,C,Naが検出されました。