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20257/04
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内閣府BRIDGEプロジェクトで7月実証実験 ~気温・水蒸気観測ライダーで線状降水帯の予測精度向上へ

気温・水蒸気観測ライダーで線状降水帯の予測精度向上へ

連続観測データの精度検証にドローンを活用
〜内閣府BRIDGEプロジェクトで7月実証実験〜

 

【英弘精機株式会社、2025年7月4日】 – 英弘精機株式会社(東京都渋谷区、長谷川壽一社長)は、内閣府BRIDGEプロジェクトで運用中の気温・水蒸気観測ライダーシステムの精度向上を目的に、ドローンを活用した新たな校正手法の実証実験を2025年7月21〜24日に長崎県五島市で実施します。

 

背景と目的

【ライダー連続観測の重要性】

線状降水帯の発生メカニズム解明には、大気中の気温と水蒸気の鉛直分布を連続的に把握することが不可欠です。英弘精機製の気温・水蒸気観測ラマンライダー は、地上から高度数kmまでの大気状態を24時間365日連続観測し、線状降水帯の発生に重要な熱及び水蒸気の流入を風上側で早期に捉えることができます。

【現在の運用状況】

内閣府BRIDGEプロジェクトでは、すでに以下の観測網を構築・運用しています:

● 鹿児島県下甑島:2024年3月より連続観測開始
● 長崎県福江島:2025年3月より連続観測開始

現在は観測データの蓄積と解析を進めており、将来的な気象予測モデルへの統合に向けて、予測精度向上効果の検証を行っています。

【精度向上への新たな挑戦】

高精度な観測を維持するためには、ライダーの定期的な校正が必要です。従来のラジオゾンデによる校正に加え、今回、最新のドローン技術を活用することで、より柔軟で高頻度な校正を実現し、観測精度のさらなる向上を目指します。

 

実証実験の概要

1. 観測実施場所: 長崎県五島市 三井楽町運動場 駐車場(長崎県五島市三井楽町濱ノ畔521)
2. 使用ドローン: タイプエス社 上空気象観測ドローンR-SWM version3
3. 観測内容: 今回使用するドローンは、気象業務法において観測精度を確保するために定められた、「気象庁検定」を取得可能

超音波風向風速計及び温度湿度計、気圧計を搭載しています。これにより、任意の緯度・経度・高度において観測した気象の基本5要素(風向・風速・温度・湿度・気圧)のデータを記録することができます。

【主要目的】

○ ライダー連続観測データの精度検証
■ 24時間連続観測中のライダーデータとドローン観測データの比較
■ 福江島観測サイトで併設し臨時観測している、米国NSF NCAR所有のDIAL との相互比較による国際標準での精度評価

【技術的検証】

○ ドローンによる新たな校正手法の確立
■ 任意の高度での定点観測による詳細な鉛直プロファイル取得
■ 従来のラジオゾンデ観測との精度・コスト比較

【応用観測】

○ 離島域特有の気象現象の解明
■ 夜明け前の大気境界層観測
■ 海上からの熱及び水蒸気流入過程の詳細観測

4. データ解析: 取得したデータを基に、気温・水蒸気観測ラマンライダーのドローンによる校正可否の評価を行うほか、ニーズに応じたデータ観測・解析手法の確立を目指します。また、本ライダーによる連続観測結果は、BRIDGEプロジェクトを通じて、線状降水帯等の豪雨予測精度向上に使われます。

 

今後の展望

本実証実験で確立する新たな校正手法により、以下の成果が期待されます。

【期待される成果】

● 高頻度な校正による観測精度の向上
● 線状降水帯の予測リードタイムを6時間程度から半日程度へ拡大
● 運用コストの削減と観測網の効率的な維持管理

【社会実装への道筋】

2025年度:実証実験結果を踏まえた観測システムの最適化
2026年度:BRIDGEプロジェクトを通じて九州全域への観測網拡大の検討
2027年度:ライダー連続観測システムの全国展開に合わせた標準化

 

内閣府BRIDGEプロジェクトについて

内閣府BRIDGE「革新的な統合気象データを用いた洪水予測の高精度化」(研究代表者:九州大学杉原裕司教授)は令和5年度から7年度の3年間のプロジェクトであり、線状降水帯による豪雨災害が最も頻繁に発生する九州の拡大筑後川流域と球磨川・川内川流域の風上側の離島に水蒸気と気温が同時観測できるライダーシステムを設置し、水蒸気フラックスと熱フラックスのリアルタイム常時観測技術を開発。これらライダーセンシングによる水蒸気・気温・風速・風向の鉛直分布および、衛星データと高層天気図の情報を自己組織化マップに基づいて変換したパターンのマップ情報等を気象データとして統合化する技術を開発し、AIへの入力データを生成・配信するデータプラットフォームを構築します。
https://www8.cao.go.jp/cstp/bridge/keikaku/r5-31_bridge_r7.pdf

英弘精機株式会社について

英弘精機は、社会のニーズに応える技術の開発と環境モニタリングの発展に尽力していきます。弊社は、ステークホルダーの皆様と協力しながら、安全でかつ気候変動に適応した社会の実現に向けて有意義な貢献をしていきたいと考えています。

 

【本件に関するお問い合わせ先】

EKO 英弘精機株式会社
担当: 手柴 充博(てしば みちひろ)
Email: teshiba@eko.co.jp
TEL: 03-3469-6718

YouTube: Introduction of EKO’s Lidar

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