薄層クロマトグラフィー（TLC）は、ガラス板等の支持体にシリカゲルやアルミナを薄く敷いたプレートを用いて、混合物を移動相で分離する方法です。この方法は簡単で古くから行われている手法で、天然物や未知の物質の分離や、多種類の物質を同時に分析、視覚的に分離を確認することが可能です。ただ、外的要因を受けやすいため再現性が取りにくく定量分析には向かないとされることが多くあります。
2019年に発売されたスイスのCAMAG社製 全自動HPTLC分析システム HPTLC PROでは、これらのメソッドを標準化し、検証方法を確立させた方法で、再現性や分離能の高い分析を行うことができます。6つのモジュールで構成され、プレートへのサンプル塗布から分析、プレートの貯蔵までの全ての工程を全自動で行うことができます。
EKOでは、6つのHPTLC PROモジュールのうち、サンプルアプリケーションモジュールと展開モジュールをすでに販売しており、今年4月からプレート貯蔵モジュールの発売を開始しました。更に今年後半には、発色モジュールを発売予定です。来年には、ハイパースペクトルカメラ搭載の検出モジュール及びMSインターフェースモジュールが発売される予定となっており、本システムの発売より3年を掛けて全モジュールが揃います。
HPTLC PROシステム全体の概要
HPTLC PRO サンプルアプリケーションモジュール（販売中）
- 全自動サンプル塗布
- スプレーオンテクニック バンド状に塗布
- 75サンプルまで
- visionCATSにてコントロール
HPTLC PRO 展開モジュール (販売中)
- HPTLCプレートを5枚まで自動展開
- 3溶媒までコントロール
- 小容積のチャンバーはガス置換も可
- 固定層の吸着水のコントロール
HPTLC PRO 発色モジュール（2021年デビュー予定）
- 使用試薬量は3ml
- 試薬ノズルの自動洗浄
- 噴霧後の自動乾燥
- 噴霧試薬が漏れ出さない気密機構
HPTLC PRO 検出モジュール（2022年デビュー予定）
- ハイパースペクトル検出器、吸収スペクトルと蛍光測定
- 光源はキセノン、LED励起
- 波長領域 200～1000nm
HPTLC_PRO MSインターフェースモジュール（2022年デビュー予定）
- 質量分析装置に接続し、分離ピークの質量分析
- プレート上のピークを溶出させ別途分取
（フラクションコレクターの機能）
- visionCATSが検出するプレート上のピークを自動質量分析へ
HPTLC_PRO プレート貯蔵モジュール (2021年4月より発売開始)
- 最大5枚の新しいHPTLCプレートと分析の終わったプレートを貯蔵
- プレートの汚染を避けるため、発生ガスの吸着システム
HPTLC PROシステムでは、HP TLCプレート（20×10㎝）を使い、全自動でHPTLCプレートコンディショニングを行い、次にサンプルをバンド状に塗布します。雰囲気調整を行いながら自動展開し、発色、検出、分離されたバントから自動抽出し、フラクションコレクターないしは質量分析計に抽出サンプルを送り、完了となります。
プレートは各モジュール間をベルトコンベアーで移動し、全自動で再現性及び信頼性の高いデータを提供します。
一度に75サンプル、5枚のプレート、3種類の展開溶媒をコントロールすることが可能で、面倒なTLC分析の作業を全自動で行うのでルーチンワーク分析に最適です。
各モジュールはスタンドアローンとして、また従来のHPTLC分析システムと組み合わせて使用することができます。CAMAGのHPTLC分析システムには高い再現性と定量性が有ります。薄層クロマトグラフィーは特にHPTLCプレートを使うと15サンプルを15分程で同時展開することができます。また吸着の強い成分もスポット位置に残るだけでなので、前処理にそれほど気を配る必要が有りません。15サンプル同時展開、HPTLCの展開の速さ、サンプルが必ずプレート上に残る点など、HPTLCは、高速液体クロマトグラフィーにはない特徴を持っています。高速液体クロマトグラフィーで溶出時間の長いサンプルなど、お困りの際はHPTLCがお勧めです。
お客様のニーズやアプリケーションに合わせたシステムの構築も可能ですので、是非お気軽にご相談ください。
製品ページ：
https://eko.co.jp/products/physical-property/life_science/tlc/hptlc-pro.html
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