印刷ペーストの評価
インキや塗料などの印刷材料、コーティング材は、樹脂溶液に顔料を分散させた系や、樹脂を用いずに溶剤や水に顔料などの固体粒子を分散させる場合など、いずれも凝集分散系に特有の複雑なレオロジー挙動を示すことが多いことはよく知られています。 これら材料のレオロジー特性を把握することは、製造プロセスにおける混合、分散あるいは輸送などの条件決定や、品質管理や印刷、塗布の際の各種適性を評価する上で重要なポイントとなります。ペーストを実際に塗工する際は高せん断速度域の粘度値、レベリング性やタレ性を見る際には低せん断速度域の粘度値を見る必要があります。
粘度測定
ブルックフィールドの回転式粘度計は、試料と接触したスピンドルをある回転数で回転させるために必要なトルクを粘度値に換算して計測します。速度に応じた流動特性を求めることが可能です。また試料を平板のカップ/試料台に乗せ、円錐状のスピンドルで挟んで測定するコーンプレート型粘度計は極少量のサンプル量で測定でき、円筒形スピンドルよりも高せん断速度域まで測定が可能です。
印刷ペーストの測定
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印刷特性の良し悪し
せん断速度を規定できるコーンプレート型粘度計を用いて回転数を変えながら測定を行うことで、各せん断速度での粘度を把握することができます。 測定結果から、印刷特性の良い既製品(新)に比べ、印刷特性の悪い経時品は高せん断速度域で粘度値が高く出ており、印刷時にかすれてしまう等のトラブルの要因であると推測できます。
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印刷後のたれやすさ
RheocalcTソフトウェアでは取り込みデータ、測定プログラムの保存が可能です。せん断速度を変えて粘度を測定したフローカーブでの比較も容易に行えます。 測定結果から開発品2については、既製品と比べて全体の速度域で低い粘度値を示しており、印刷時の伸び等は良いが印刷後にたれてしまうことが予想されます。