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太陽電池の出力特性と評価方法

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1-1. 太陽電池出力特性
1-2. その他の太陽電池特性
2-1. 太陽電池出力の評価方法
2-2. 可変負荷方式による出力測定
2-3. 出力特性の算出法

1-1. 太陽電池出力特性

太陽電池の特性は、出力特性・分光感度特性・照度特性・ダイオード特性などに分類される。とりわけ出力特性はI-Vカーブから算出する事が出来るためI-V特性と呼ばれ重要なパラメータです。

太陽電池の特性は、種類や入射エネルギーなどにより変動するので、一義的には定まらず、数値的取り扱いが複雑になります。図1.2.1に太陽電池の等価回路を示します。

図1.2.1 太陽電池の等価回路

図1.2.1 太陽電池の等価回路

入射光に比例する大きさiphを電流源と見なすとすれば、理想的には出力電流iと等しくなります。しかし、太陽電池はp-n接合を持つダイオード素子であるために内部損失が発生します。

動作電圧vjに応じて発生するダイオード電流idは太陽電池の種類で決まる逆方向飽和電流ioとダイオード因子ndから次式のように表されます。

(1.2.1)

(1.2.1)

但しkはボルツマン定数、Tbは絶対温度、qは素電荷。

また、p-n接合界面の不整合などにより表面を流れる漏れ電流ishは、動作電圧vjに比例して生じるため、並列抵抗rshを用いて次式で表されます。

(1.2.2)

(1.2.2)

故に、出力電流iは、

(1.3.3)

(1.3.3)

となります。動作電圧vjはp-n接合部の接合電圧に相当し、直列抵抗rsとすれば、出力電圧vはv=vj-irsとなります。この関係を用いて式(1.2.1)及び式(1.2.2)からvjを消去して、式(1.2.3)に代入すれば、出力電流iは次式となります。

(1.2.4)

(1.2.4)

図1.2.1の等価回路内のrsは開放電圧vocには殆ど影響を与えませんが、短絡電流iscを著しく低下させる可能性がある。また、rshはiscには影響を与えず、vocを低下させる可能性があります。

図1.2.2 電圧と電流と電力の相関関係曲線

図1.2.2 電圧と電流と電力の相関関係曲線

 図1.2.2に示すI-Vカーブにおいてvが増加するに従い電流iは垂下特性を示します。カーブ上の任意の点p(i,v)を動作点と呼び、負荷zに対して、v=ziなる関係が成立しています。最も大きな有効電力が得られる動作点を、最大出力点(Maximum Power Point)あるいは最適動作点(Just Fit Point)と呼びpmaxと表します。最適動作電流ipmax、また開放状態を開放電圧(Open Circuit Voltage)voc、短絡状態を短絡電流(Short Circuit Current)iscと言い次式で表されます。

(1.2.5)

(1.2.5)

(1.2.6)

(1.2.6)

F(λ):入射光(λ)に対応する単位面積・単位時間当たりのフォトン数
η(λ):外部収集効率、λ:入射光の波長[μm]

(1.2.7)

(1.2.7)

(1.2.8)

(1.2.8)

(1.2.9)

(1.2.9)

更に、曲線因子(Fill Factor)FFはpm’maxとpmaxとの面積比として定義されます。

(1.2.10)

(1.2.10)

入射エネルギーを電気エネルギーに変換する指標を変換効率(Convertion Efficiency)ηと呼び、次式によって定義されます。但しpiは入射エネルギー密度[W/m2]、Sは太陽電池の有効面積[m2]です。

(1.2.11)

(1.2.11)

1-2. その他の太陽電池特性

太陽電池の特性は、光源の種類や特性により大きく異なります。入射エネルギーのうち一定波長帯域のエネルギーに限り電気エネルギーに変換し得る入射光には直達光と散乱光があります。このほか入射角度や内部(周辺)温度なども出力に影響を及ぼすため、以下に示すような特性についても注意を要します。

(1) 分光感度特性

電気エネルギーに変換できるのは、ある特定の波長帯のみです。その変換に適した入射光スペクトルは大気中での散乱・吸収あるいは電池表面への入射角度によっても変化します。

一般には空気透過量(AM:Air Mass)という指標が用いられます。AMが4以下の場合は次式で定義されます。

(1.2.12)

(1.2.12)

但し、boは標準気圧(=101.3[kPa]、bは測定時の気圧[kPa]、zは太陽の天頂角[°])

日本における南中時のAM値はおよそ1~2の値を取るため、その平均値の1.5(z=48度に相当)が標準値として用いられます。南中時を過ぎると、AM値は大きくなり、直達光の透過量が減少します。同時に散乱光を多量に含んで変換可能量は大幅に減少します。変換可能波長域の広さや、その波長域での変換効率の高さを明らかにするものが、分光感度特性です。

(2)照度特性

図1.2.2で示したI-V特性は一定照度下のものです。照度が二倍となれば、出力も二倍になると考えて差し支えありませんが、ある照度を越えると出力は一定となります。また、照度が強すぎれば電池の劣化を招き、弱すぎれば電池のダイオード特性のために発電不能となります。通常の日射量は最大で1[kW/m2]程度です。

(3)温度特性

半導体のバンドギャップにより差異はあるが、一般に温度上昇に応じてiscは微増、vocは大幅減の傾向を示します。この結果、出力も低下します。電気エネルギーに変換できなかった入射エネルギーは熱エネルギーに転換し、太陽電池の内部温度を上昇させる要因となります。効率低下を防ぐためには充分な放熱を行なう必要があります。

(4)不整合率(Miss Match Efficiency) ηmis

直列または並列に接続された太陽電池セルあるいはモジュールの均一な照射条件で測定された出力と、同一照度および温度条件下で測定した個々のセルあるいはモジュールの出力の合計の比で表わされます。個々のセルあるいはモジュールの特性のばらつきや不整合などが原因となり、アレイを構築したときは不整合率を考慮にする必要があります。

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2-1. 太陽電池出力の評価方法

(1)太陽電池モジュール出力測定方法

JIS規格が定める太陽電池関連の規格のうち、JIS C 8914は「結晶系太陽電池モジュール出力測定方法」について規定しています。これによると、太陽電池の測定は標準状態で行い、使用する場合は更に基準状態(Standard Test Condition)に換算することを定めています。又、検収試験を行う場合は、取得データに温度補正や照度補正を施して基準状態に換算する必要があります。取得データは離散値であるため出力特性の近似算出法も規定されていますが、これについては後述します。

表2.1.1 結晶系太陽電池モジュール出力測定法(JIS C 8914)(抜粋)

標準状態
セル温度 15~35℃
放射照度 1000±50W/m2
光源の条件 JIS C 8912に規定するソーラーシミュレータを用いる
基準状態
太陽電池セル温度 25℃
分光分布 AM=1.5(全天日射基準太陽光JIS C 8911を参照のこと)
放射照度 1000W/m2
測定装置
計測器の許容差 0.5級以上
電圧計の内部抵抗 20kΩ
温度計の確度 ±1℃
測定光源 等級Aまたは等級Bのソーラーシミュレータ
二次基準太陽電池 JIS C 8911に従って構成された二次基準太陽電池セル
バイアス用電源 電圧が負の値を示す点から電流が負の値を示す点で掃引出来ること
測定方法
I-Vカーブ測定点数 ix~vocの間で30点以上
X-Yレコーダ法 電圧・電流測定信号をX-Yレコーダに接続し、バイアス電源を掃引しながらI-Vカーブを描く方法
バイアス電源法 バイアス電源を段階的に変化させ、電圧・電流測定値を記録しI-Vカーブを描く方法
電子負荷法 可変の抵抗器を被測定モジュールの負荷として連続的または段階的に変化させ、電圧・電流測定値を記録しI-Vカーブを描く方法

(2)オンサイトにおける測定

表2.1.2 太陽電池アレイ出力のオンサイト測定方法(JIS C 8953)(抜粋)

3. 測定の状態
(2)測定条件
(a) アレイ傾斜角度 被測定アレイと基準モジュールは±5度で傾斜角が一致していること
(b) 日射条件 日射強度は700W/m2以上とする。又、直達光ビームは、被測定アレイの面の放線方向に対し45度以内とする
(c) 測定時間帯 測定時間は南中時間の±1時間とする。但し、アレイの設置の方位角によっては適切な時間帯を選ぶこと
(d) 測定間隔 測定は複数回行うものとし、測定間隔は5分以上とする
(e) アレイの状態 被測定アレイを蓄電池及びパワーコンディショナから切り離す

表2.1.3 太陽光発電システム運転特性の測定方法(JIS C 8906)(抜粋)

3. 測定条件
(1) 測定期間 1年間又はnケ月とし、連続最短測定期間は、1ケ月とする
(2)測定周期 出力が日射と連動しているシステムについてだけ1分以下とし、それ以外に瞬時変動が少なく時間間隔が長くて良いと考えられるシステムについては、10分以下の周期を選ぶものとする。但し、日射の変動速度に比べて、瞬時変動の大きい負荷を対象とする場合は、パラメータの測定周期に配慮する必要がある。
(3)アレイ表面 運転開始後は、太陽電池アレイ表面の汚れの清掃は行わない。但し、通常の運転状態として洗浄することを規定している場合はこの限りではない。
(4)日射の測定 太陽電池アレイと同方位同傾斜面で測定する。
4. 計測機器
4.1 日射計 日射計の確度は、±2.5%とする
4.2 温度計 温度計の確度は、±1℃とする
4.3 電圧計及び電流計 電圧計及び電流計の確度は、±0.5%とする
4.4 電力計 電力計の確度は、±1%とする
4.5 特性計測機器 校正は2年ごとに定期的に実施する

2-2 可変負荷方式による出力測定

2-2-1 X-Yレコーダ方式

図2.2.1 X-Yレコーダ方式原理図

図2.2.1 X-Yレコーダ方式原理図

太陽電池の出力特性を測定する最も簡単な方法として、図2.2.1(a)に示す抵抗負荷2端子方式があります。これはX-YレコーダのX軸の電圧計を、Y軸に電流計をつなぎ可変抵抗の負荷を変化させることにより、太陽電池の電流-電圧特性を得るものです。しかしこの方法は太陽電池の出力電流が大きい場合は、電流計の内部抵抗や太陽電池のリード線の抵抗などによる電圧降下の影響を強く受けるため精度良く測定できない問題点があります。(b)は電圧と電流をそれぞれ別の回路で測定する方式(4端子法)で、リード線抵抗を少なくできます。また負荷として可変電圧源を用いて電流計の内部抵抗の効果を補うことにより、大きな出力電流の場合でも正確な測定ができます。

2-2-2 コンデンサ負荷方式(特許取得)

図2.2.2 コンデンサ負荷方式原理図

図2.2.2 コンデンサ負荷方式原理図

この測定方式は図2.2.2に示すように可変負荷にコンデンサを用いており、充放電を行うことでI-V特性を得るものです。まず測定を開始する前にSW1の電荷放電スイッチによりC1の負荷コンデンサを完全に放電させ、C2の逆バイアスコンデンサをVDCの電源により太陽電池とは逆極性の電圧に充電させておきます。こうすることで、太陽電池に逆バイアスがかかり電圧を負側から測定することが可能となり、短絡電流が得られます。次にSW2のスイッチを閉じて測定を開始すると、太陽電池からの電荷はC1の負荷コンデンサに充電されて徐々に開放電圧に近づいていきます。電圧vが増大するにつれ電流iは減少し無視できるほど小さくなった時点でSW2を開き測定を終えます。この一連の充放電動作を測定することでI-V特性を得ることが出来ます。

2-2-3 バイアス電源方式

図2.2.3 バイアス電源方式原理図

図2.2.3 バイアス電源方式原理図

この測定方法は図2.2.3に示すように可変負荷としてバイアス電圧発生回路を用いています。コンピュータとD/A変換器により階段状の波形を作り太陽電池の出力に合った増幅度を持つアンプを介して太陽電池の両端に加えることにより可変電圧源とし、そのバイアス電圧を増加させることで太陽電池電圧を押さえて電流を流し、I-V特性を測定するものです。

2-2-4 電子負荷方式

図2.2.4 電子負荷方式原理図

図2.2.4 電子負荷方式原理図

この測定方法は、図2.2.4のように可変負荷として、トランジスタなどの半導体デバイスを用いており、その原理はトランジスタのベースにランプ波状の制御信号を加えることでコレクターエミッタ間にかかる電圧を、ベース電流の増加と共に減少させると、次第にコレクタ電流が増加します。この一連の電気的変化を測定することでI-V特性を得るものです。

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2-3. 出力特性の算出法

(1)I-Vカーブに関する特性値算出法

出力特性はI-V特性から読みとることが出来ますが、実際の取得データは外的要因をうけて変成しています。そこで、以下に示す数値算出法を用いて近似算出する手法を示します。

図2.3.3 ix、vocの算出

図2.3.3 ix、vocの算出

図2.3.3に示すように、電圧が負に示す点から電流が負の値を示す点まで掃引出来ています。点a(va、ia)は電圧が負から正に転じる直前の測定点であり、点b(vb、ib)はその直後の点である。同様に点f(vf、if)は電流が正から負に転じる測定点であり、点g(vg、ig)はその直後の点です。 点aと点bの二点間を次式により直線近似して、短絡電流iscと見なします。しかし、後述する電子負荷及び、抵抗負荷方式は接続配線抵抗及び可変負荷の内部抵抗によって負側の測定点aが得られないため、開放電圧の3%以内であれば、点bの接線と電流軸との交点を短絡電流とするJIS規格で規定しています。

(2.3.6)

(2.3.6)

但し、va<0、vb≧0

同様に点fと点gを通る直線のv切片を開放電圧vocと見なします。しかし、後述のトランジスタ利用の電子負荷方式では、極小ではあるがコレクタ遮断電流の影響により、取得できない恐れが生じますが、その場合は電圧軸との直線近似により求められます。

 

(2.3.7)

(2.3.7)

但し、i3≧O、j4<0

 

図2.3.4 pmaxの算出

図2.3.4 pmaxの算出

図2.3.4中の点a~g及び点A~Gは、それぞれ図2.3.3の点a~gに対応しています。点Dは取得データの中でpの最大値となる点であり、点C、点Eは点Dのその前後の至近点である。点Dはpmaxを近似する上で重要な動作点となります。
ここで、三点C(vc,pc)、D(vD,pD)、E(vE,pE)についてラグランジェ補間法からvを二次変数とする曲線p=αv2+βv2+γを求め、その曲線の極大値をpmaxします。

(2.3.8)

(2.3.8)

但し、最適動作電圧Vpmax=-β/2αである。

 (2)基準状態への出力特性補正法

基準状態での電圧値v2、電流値i2、日射強度e2(=1000[W/m2])、被測定用太陽電池温度t2(=25℃)とし、測定した電圧値v1、電流値i1、日射強度e1、被測定用太陽電池温度及びt1び短絡電流iscとした時、次式を用いて補正を行います。

(2.3.9)

(2.3.9)

(2.3.10)

(2.3.10)

但し、α:太陽電池温度が1℃変動した時のixの変動値[A/℃]
β:太陽電池温度が1℃変動した時のvocの変動値[V/℃]

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