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チクソトロピー性

チクソトロピー性とは、簡単にいってしまえば粘度に時間依存性があることをいう。つまり、同一サンプルを同一条件で粘度測定した場合に、”いつ測定する か”というパラメーターにより、粘度値が異なることをいう。このいつ測定するかという表現に含まれるのがせん断の履歴であるが、実存の試料では長い時間を かけて粘度値が変化することもあり(せん断をかけ続ければ粘度が減少しつづけ、静置しておくと長時間粘度が回復していく)、厳密にチクソトロピー性流体の 粘度を一義的に決定することは不可能なこともある。ただ、せん断の履歴は測定機側の条件で簡単にそろえることができるので、ある条件のもとの粘度という形 で粘度測定を行えば問題ない。 また、本来のチクソトロピー性の定義は上述のとおりであるが、場合によってはせん断速度依存性(俗にいうTI値)をチクソトロピー性の評価として用いることも多い。これは、時間依存性をもつ流体はせん断速度依存性も持つという経験則から混同されたものと推測される。厳密にはチクソトロピー性とは別の概念であるが、測定の方法としては最も簡単で回転粘度計であれば測定器の種類を問わず取得できる。

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チクソトロピー指数の測定手法

チクソトロピー指数の測定手法にはいくつかあるが、スタンダート的なものとして用いられているのは下記の3つである。

  • チクソトロピーインデックス(TI値)
  • ヒステレシスループ測定
  • 回復速度の測定

3番目の回復速度の測定はあまり一般的ではないが、回復の速さから見たペーストのチクソトロピー性を評価できる。
なお、これまで述べたとおりチクソトロピー性はせん断速度やローターの回転速度と関係する量なので、回転粘度計を対象に議論する。

1)チクソトロピーインデックス(TI値)

ペーストのような分散系では図2のように、回転速度に応じ粘度値が下がる(水のようなニュートン流体では一定である)。このとき、回転速度aとbにおける 粘度値の比を取ったものがいわゆるTI値である(図3)。aとbの値には特に決まりがないが、TI値が1以上になるように比を取る。

TI=ηb/ηa    (  >1)

また、通常は、粘度値の低いほうから高いほうを測定する。チクソトロピー性により粘度値が安定するまで若干時間がかかるが、安定したところで粘度値を読み 取る。その回転数における構造破壊が定常的に起こっている安定した粘度であり、前述したせん断の履歴を解消した粘度値である。

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2)ヒステレシスループ測定

せん断速度(又は回転数)を連続的(又は徐々)にあげていき再び下げる測定方法である(図4)。チクソトロピー性を有する流体は、せん断速度を加えて粘度 が下がると下がった状態がある時間持続する(図1)。また、aからbにいたる過程でより大きなせん断が加わるため粘度がより小さくなる。従って、同じせん 断速度であっても、aよりもbの方が小さい粘度を示すことになる。

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これまでは粘度で話をしてきたが、降伏値を有するペーストではせん断速度がゼロに近づくにつれ粘度が極大になる。そうするとヒステレシスループが閉じないためループで囲まれた面積の正確な測定が困難になる(図6)。また、せん断速度とせん断応力で囲まれた面積は「Pa×1/s」の単位を持つ。これは、「(N・m/s)×(1/m3)」の次元であるため、単位体積あたりの構造破壊に要したエネルギーとなる。この2点から、ヒステレシスループでは、粘度ではなくせんだん応力のグラフから面積を求める(図5)。

この面積は、同一の試料であっても測定条件によって変わってくる。せん断速度の上げ方をゆっくりにすれば、構造を破壊しながらせん断応力を計測することになるため、面積は小さくなる。従って、この場合でも測定条件を規定してチクソトロピー量を求めることが基本となる。なお、最近の粘度計メーカーが提供する ソフトウェアではこの面積計算を自動で行ってくれるものもある。

チクソトロピーが起こる機構は様々であるが、基本的には凝集構造が破壊されることで生じていると考えられる。従って、ループの面積が大きいものはその凝集構造が多いと考えられ、分散性を知るひとつの目安となる。

3)回復速度の測定

逆説的だが、チクソトロピー性が機能的に作用するのは、回復までにある程度の時間がかか るためである。塗布後のペーストが十分にレベリングするためには塗布時のせん断によりある程度の時間粘度が下がった状態を保持することが必要になる。逆 に、瞬間的に回復し、たれないことが要求されることもある。このため、どのくらいの時間で回復するかを測定したい場合は多い。簡単な方法は、低せん断→高せん断→低せん断の順で粘度を測定することである。

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また、多少時間のかかる方法だが、瞬間的な回復を類推する方法として、一定のせん断を加え、放置時間を変えたときに粘度がどのように回復するかを調べる方法がある(図8)。

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せん断aにおいて、測定初期の瞬間的な粘度を計測する。それを、せん断b、c、dと繰り返し(せん断速度は一定)、放置時間に対してどのように回復が進行するかプロットしていくものである(図9)。

長い時間をかけて徐々に回復するものもあるが、多くの分散系では放置の初期数秒から数分で30~50%回復するものが多い。

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